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「本に関する情報」
(東京おとなクラブ特派員)中森明夫
★『”奇怪”な若い美人――空腹のあまり人気作家の食事パクリ』
二人の人気作家、ゲイ・タリーズ(ベストセラー『汝の隣人の妻』の著者)とA・E・ホッチナー(近作に『パパ・ヘミングウェイ』)が深夜、マンハッタンのパブで食事をしていると、若い美女が店に入って来て、二人の隣に腰をおろした。
彼女は自己紹介した後「アタシとても空腹なの」を連発。これを聞き、腹を立てた店の女主人エレーンさんは、彼女をバーのほうに追い払った。
ところが三分後、その美女が再びやって来て、突然タリーズの食事を食べ始めた。
たまりかねたウエーターが帰るように命じたので、彼女は席を立ったが、店を出る前に、名前と電話番号を書いた紙をテーブルの上に残した。
「で、その美女は何者?」
「知らないよ。すぶにタリーズが紙をポケットにしまい込んだものだからね」
(1/6付け東京スポーツ・ニューヨークエクスプレスより)
★6月2日、午後4時過ぎ、新宿紀伊國屋前において、奇妙な一団によるパフォーマンスが行われた。胸と背に「PENGUIN・?」と印刷されたお揃いのTシャツと黒いズボンをはいた十名近くの男女が、これまた、「PENGUIN」染めぬかれたノボリを立て、ハンドマイク片手に道行く人に「ペンギンの血はあたたか~い」、「ペンギン共和国をつくろ~」等、わけのわからない呼びかけを行ったのである。彼らの風体はと言えば、ヒゲあり、メガネあり、長髪ありと、何やらハーレ・クリシュナかバグワン・ラジネーシ、はたまた天井桟敷劇団員を思わせるただならぬ気配をともなったものであった。そういえば呼びかけのバックにはジュリアス・シーザーもどきの奇妙なピアノ音楽が気持ちわるく不協和音してたっけ。しかし、なぜに工作舎にしろC+Fコミュニケーションにしろ神秘主義がらみの人々というのは、あーゆー瞑想的風貌+天国目(常に天国を見てるような目)+理工系大学の大学院嘱託研究生的ニヤニヤ笑いなのだろう。なにやら寺山修司のお葬式以来のイヨーな雰囲気だなぁと中森明夫君がそこを通り過ぎようとした時、たまたまあの新宿の名物男、極彩色の扮装で、首から下げたテレコからは懐かしのアニメマンガのテーマソング・ヒットメドレーを大音量で流しているという、タイガーマスクお兄さんが、突然、この奇妙な一団の横をタタタッと走り過ぎ、道行く人々を一瞬緊張のどん底に落としいれた。それまでいい気になって廻りの好奇の目にサービスするかのようにわがもpの顔で散々異様を振りまいていた件のペンギン軍団も通り過ぎるタイガー兄さんにただ見とれるばかりであった。中森君自身は、現実の裂け目から異空間に迷い込んでしまったのではないかと、我が目を疑ったそうである。
実はこのパフォーマンス、『ペンギン・クエスチョン』という新雑誌の創刊準備号販売キャンペーンだったのだ。内容といえば製作メンバーが重なってることもあり、昨年朝日ソノラマから出て、創刊と同時に廃刊という幻の雑誌『リベルタン』と酷似している。現代企画室から創刊されるこの雑誌、執筆陣の多彩な顔ぶれを見ると期待したいところだが、でもねー、今さらペンギンってセンスもないのでは? なお同じ場所で数日後にはブス・チビ・カッペ・メガネはとるなという同書店員採用基準に抗議しての紀伊國屋労組によるデモンストレーションが行われた。どーもあの場所には何かあるな。
★御提案コーナーその1
『月間キャンパス・カレンダー』というのがある。紀伊國屋とか芳林堂をはじめとして、都内の喫茶店、ライブスポット等でタダでもらえる雑誌である。なんとなく休刊してしまった『ぴあカレンダー』と間違えそうだが、表紙も紙質もページ数も立派なものだ(内容はとは言わないが)。まぁこれは近頃ハヤリの広告目当てのキャンパス誌(キャンパス内で作る雑誌という本来の意味ではなく、キャンパスビジネス団体がアーパー大学生むきに作る情報誌といった意味の)なのです。この際内容はとやかく言わない、なにしろタダなんだから。で、この雑誌の巻末に都内の映画館、ライブスポット等のその月のスケジュールがのってんだけど、これはちょっと可能性あるんじゃないの。なんの可能性かっつうと、つまりもっとこの部分を充実させてですねぇ、『ぴあ』にせまるモノを作っちゃえばってことだ。そしたらもうだれも月二回も200円払って『ぴあ』なんか買わないと思うよ。そーしなさい、ぜひしなさい、半年以内にやりなさい、『キャンパスカレンダー』編集部の、お金持ちで育ちがよくて良家の坊ちゃんふうのそのクセ頭がよくてバイタリティーあふれるクリスタル大学生諸君! とにかくね忘れちゃいかんけど情報ってのはもともと本来は無料で提供されるべきものだったはずだからね。(今月の御提案者・エンドウユイチ氏)