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雑誌『さーじゅ』における中森明夫氏のコラム1983年12月号


雑誌『さーじゅ』における中森明夫氏のコラム1983年12月号漫画ブリッコの世界

※下記の文章について
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(資料提供してくださったtomo様に感謝します)

ブランド・ニュー・エイジに贈るプリミティブ読書ペーパー
若い読書

中森明夫(東京おとなクラブ)責任編集
全国高校生読書委員会・編

=アンテナキッドのアンテナ情報局=
もぉ今年も終りだぜぇ

とゆーところで今年のベスト1は立花隆の『宇宙からの帰還』か、ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』か、はたまた『その後の仁義なき桃尻娘』かといったところなのだろーけど、個人的には浅田彰の『構造と力』(頸草書房)を押したいね。ワーストはもち『東京漂流』ね。まんがはもお大友克洋の『童夢』と高野文子の『おともだち』しかないし。と思ってたところへドドーンと出ました出ましたよ小林信彦『夢の砦』8ポイント2段組六百ページ一冊本。新潮社が読書の秋におくる『吉里吉里人』以来の電話帳大超ぶ厚本パフォーマンスなんだけど、小林センセにとってもエポックな作品になるみたいだし、早く読まなきゃ。
○橋本治ちゃんファンの間でかねてより噂されていた、男のための手編みニットの本がいよいよ近日中に河出書房新社から発売される。また『ふしぎとぼくらはなにをしたよいかの殺人事件』(原文ママ)は続編を構想中でシリーズ化される予定とか。
○我らがヒーロー高橋源一郎選手の新作が『海』新年号に掲載される予定だったが、執筆が遅れてちょいと延期になるらしい。タイトルは『虹の彼方に』。
○その高橋源一郎氏がキャプションを寄せているのは『スタジオボイス』12月号、話題の現代詩の中森明菜こと伊藤比呂美の衝撃ヌード! 次は高野文子、杉浦日向子あたりが狙われるらしいとの声も。
○中森明夫大先生は『月刊プレイボーイ』新年号の巻頭コラム”今月の許さんゾ”
において、巷に群れ集う広告バカに怒りをぶちまけられるとか。
○先月紹介した桜沢エリカ嬢は、とたんに売れっ子になってしまった。中でも見物は『マザー』休刊号でのファッションペエジ。西洋人形や日本人形やバレリーナのカッコなどされて、とってもカワユ▽(ハート)
○無冠の帝王・矢作(ハードボイルド)俊彦センセが司城志郎氏とタッグを組んで書かれた『暗闇へノーサイド』(カドカワノベルス)で、角川小説賞を受賞。拍手。
○サリンジャー二世の晴れ舞台――『ライ麦畑でつかまえて』などの人気作家J・D・サリンジャーは、孤独癖があり、人前に出ることが大嫌いだが、息子のマット(二三)は彼と正反対の性格。コロンビア大学在学中から、俳優の道を目指し、学生劇団にいたこともある。十月、ロサンゼルスで上演される『スタジオの一夜』に、マットの出演が決まった。この作品は、NYのディスコでのナイトライフを描いたもの(ニューヨーク・エキスプレスより)
○とゆーところで今月はこれまで。

ニュー感覚コミックス紹介 岡崎京子がキモチE

岡崎京子の存在ってのは、一部熱狂(カルト)ファンに支持されているライブハウスのニューウエブバンドといったところだ。自主制作盤レーベルからLPを一枚出しているといった、ちょうど今の”ショコラータ”みたいな感じね。彼女が活躍するライブスポットは『ポンプ』『ブーム』『東京おとなクラブ』『漫画ブリッコ』『よい子の歌謡曲』『Splash』などなどで、主にイラスト中心の仕事をしている。個人的には『ブリッコ』の、”キョービの女子高生通信”とゆう、女のコの落書きノートみたいなペエジでのパフォーマンスがステキだと思うのだけれど、あのロリコンまんが雑誌の中では桜沢エリカ、中森明夫の『おたくの研究』と並んで読者の評判がよくない。もったいない話しである。
『東京おとなクラブ』2号にのった「GIRLS AT OUR BEST」は、今んとこ彼女のコマまんがでの唯一の成功作だとも思えるのだけど、キラキラしたポップセンスと、ピキピキしたリズムが伝わってくる、とってもキモチE作品なので、ぜひ読もうね。岡崎京子のまんがが分かんないなんて思ってる人は、岡崎京子に会ってみるといい。ホント、まんが以上にピキピキした女のコなんだから

(中森明夫)