白倉由美「学園少女/砂緒」のメインとなっているのは、当時の白倉作品に登場していた(そして、その後も頻繁に登場することになる)8人の少女を描いた10枚のイラストです。
各イラストには#1~#10までの通し番号がつけられ、上部が日めくりのように簡単にはがせる糊で綴じられています。
イラストの下にあるプロフィールは、川西蘭氏の文章が収録されている冊子の扉部分に書かれていたものを転載しました。この画集の発行が昭和60年末ですから、当時の彼女たちの年齢は16~20歳ということになります。
「漫画ブリッコ」からの画集という性格上、かなり挑発的なポーズが多いような気がしますね・・・。
白倉由美「学園少女/砂緒」イラスト
01.川合その子 [昭和44年6月20日生・B型] ぼくはいつも彼女を遠くから見つめているだけだった。 声をかけることもできずに。 |
02.川瀬結花 [昭和44年10月14日生・O型] きゃんきゃん言いながら、 彼女は校庭をはねまわっていた。 明るい光がはじけるみたいに。 |
03.森下由貴 [昭和44年6月9日生・AB型] 「ごめんね」 というのが彼女の癖だった。 それから、小指の爪をかむことも。 |
04.再び、川瀬結花 [昭和44年10月14日生・O型] ぼくはいたずらな風に感謝した。 |
05.石原法子 [昭和43年5月7日生・A型] 彼女が手を指しのべると、 幻の蝶は薄暮の空から舞い降りてくる。 彼女にしか見えない幻の蝶――。 |
06.箒木悠理 [昭和40年11月21日生・B型] 「木のぼりが得意なの」 「え?」 いたずらっぽく笑うと彼女はするすると木にのぼり始めた。 「ねぇ、上がってこない?あなたも」 |
07.もう一度、森下由貴 [昭和44年6月9日生・AB型] そして、ぼくは水面に きらめく光のような彼女の歌声に耳を澄ました。 |
08.清野桃子 [昭和43年2月16日生・A型] 「あったかそうだね」と言ったら、 彼女は手袋をした手でぼくの手を 優しく包み込んでくれた。 |
09.岡野めぐみ [昭和43年4月13日生・B型] 「うしろを向いてて」と彼女は言った。 ぼくは彼女に背中を向け、 ちょっと考えてから目を閉じた。 |
10.川原砂緒 [昭和42年3月8日生・O型] 陽だまりで眠る彼女はまるで甘く あたたかなミルクのなかにいるようだった。 「おやすみ」とぼくは、 彼女の安らかな寝顔を見守りながら呟いた。 「おやすみなさい、砂緒」 |