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Hapworth16での「かがみあきら展」ミニレポ(2週目)


Hapworth16での「かがみあきら展」ミニレポ(2週目)漫画ブリッコの世界先週に引き続き、Hapworth16で開催中の「かがみあきら展」に行ってきました。
今回はいつもお世話になっているアポガスキーさんと現地で落ち合っての見学になりました。
先週の展示が「あぽ編」、そして今週は「まんが家・かがみあきら編」でした。
一部先週と同じものも展示されていましたが、切り口が異なるのでまた違う視点で見ることが出来ました。

ガラスケースの中には新しく「The ZERO」収録の作品「H・Tバラード」の2色見開きページの原画や、メジャーデビュー作「クラリスメモリー未来編」の原画などが飾られていました。
壁面にはまず「リュウ」1982年9月号「罪なき神の子羊よ」、同11月号「チャペルの日記」の原画が。このあたりの作品はカケ網を多用した画面や女の子の目の形など、どちらかというと1970年代の少女コミックの影響を強く感じさせるもので、後の「かがみあきら」タッチとは若干異なる画風に感じられます。また、少し離れた場所ではほぼ最初期、1981年の「山田栄子」名義の「ESの時代」の原画もあったのですが、その1コマ目の宇宙船が驚くほど細部まで書き込まれていて、そのハードで重厚なタッチもまた、「かがみあきら」の完成された画風とは若干異なる印象を受けます。
先週の展示のレポでも少し書きましたが、氏の作画テクニックは、1983年後半~84年以降急激にクオリティがあがっているのですが、それとともに画風も変化していきます。そのことについては「Comic新現実」で出渕裕氏も述懐しているので、引用してみます。

まんがを描き始めてから、彼の描くメカはリアル系というかシャープなラインから離れてったんです。
細かいデザインよりは、自分が目指すまんがとしての雰囲気を重視するようになったんです。メカのデザイナーとしてはある意味後退しちゃったんですよ(笑)
もともと彼は少女まんがに傾倒している所があったんです。萩尾望都さんとか松苗あけみさんとかは大好きだったし。実際に彼の描くキャラクターに関しては、陸奥A子さんとか田渕由美子さん達りぼん系の人達の影響や、宮崎駿さんのテイストを参考にした跡が見られます。そんなキャラと同じ画面に並べた時に、メカニックも必然的に曲線が主体のデフォルメがきいた、リアリズムよりはキャラクター性が強い優しいラインに落ち着いていきましたね。

「Comic新現実」Vol.3 330Pより

出渕氏の言葉にあるように、かがみあきらという稀代の作家は、全く異なる2つの資質をもっていて、(それが「あぽ」という別名義を生み出すことにもなったわけですが)その2つの資質をどう融合させるのか、ということに心を砕いたと思われます。その「最初の」完成形が1983年中盤以降怒涛のように描かれた作品、そして現在まで続く「メカと美少女」の物語として表れてきた・・・。
これらは既に色々な場所で言われてきたことですが、こうして原画を直に見てみると、その過程がとてもよくわかるのです。
そして、「メカと美少女」、更にパラレルワールド、ジュヴナイル・・・といった「かがみあきら」ワールドを全てつめこんだ作品となるはずだったのが「漫画ブリッコ」1983年9月号に掲載された「時をかける少女 華圃」を主人公とした物語で、展示されていたそのカラー原画に添えられたキャプションには、実は氏が存命ならば少年キャプテンの創刊時にこの作品を連載する予定だったということが書かれていました。
他に展示されていたのは「トライアングルラブソング」カラー原画や「ワインカラー物語」の原画、「オーツカ某F・C同人誌」(!)のイラストエッセイなど、今回もバラエティに富んだものでした。
アポガスキーさんは用意周到に単行本をほとんど全部持ってきていて、原画と単行本のイラストを見比べさせていただいたりしました。自分はそういう準備が下手で・・助かりました。

このあと、場所を変えてアポガスキーさんとかがみあきら談義をさせていただきました。
自分の「にわか」ぶりがすっかりバレてしまった感がありましたが、いろいろ興味深いお話がきけて、こちらは有意義な時間を過ごさせていただきました。改めて御礼申し上げます。

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